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最高裁判所第一小法廷 昭和34年(あ)2133号 決定 1960年3月24日

主文

本件上告を棄却する。

理由

弁護人長崎祐三の上告趣意第一点及び弁護人吉田太郎の上告趣意第一点について。

所論は違憲をいうが、その実質は単なる訴訟法違反であって、刑訴四〇五条の上告理由に当らない。(所論録音についての原判決の説示は結局当裁判所もこれを正当と認める。要するに所論録音は本人不知の間になされ、従って、何等本人の表現の自由を侵害したといえないこというまでもない適法な証拠であって、記録によれば、第一審裁判所はその用法に従って、証拠調をしたことが明らかであるから右録音の存在及びその内容を証拠に採用したことに所論の違法ありというを得ない。なお、本件では、右録音の存在、内容を除外しても判示犯罪事実を肯認することができること明らかであるから、判決に影響を及ぼすべき法令違反ともいえない。)

弁護人長崎祐三の上告趣意第二点は単なる法令違反、事実誤認、量刑不当の主張を出でないものであり、

弁護人吉田太郎の上告趣意第二点は量刑の非難に帰し、

いずれも刑訴四〇五条の上告理由に当らない。

よって、同四一四条、三八六条一項三号により裁判官全員一致の意見で主文のとおり決定する。

(裁判長裁判官 下飯坂潤夫 裁判官 斎藤悠輔 裁判官 入江俊郎 裁判官 高木常七)

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